【木工事】

木材を主体とした、日本古来より今に伝わる建築分野の中の主軸工事の一つで、住宅業界はもちろんのこと、その他木造建築以外の建築・土木工事においても欠かせない工種の一つになります。

その中の木造建築におては、大工さんにより行う建物の構造部分(骨組)の組立から、加工木材を使用し様々な部位にて建築工事の過程を支える造作工事、木材の癖や性質を利用してそれらの用途に加工し、化粧材として建築現場に使用し、取付作業を行う仕上工事など、巾は広いですが、大きく分けてこのような内容が木工事にあたります。

さらにこの木工事に関しては、柱や梁などの構造材を化粧で見せる職人ならではの技を生かし演出するような建物や、和室関連の化粧材を取り扱う、難易度の高い仕上げ作業は技術的な面において、他の工種とはひと味違った深みがあり、熟練された匠の技が必要になってきます。

ですから携わる難易度の高い物件に関しては、現場を管理する側も、技量と知識を兼ね備えた大工の棟梁(親方)、いわゆる大工本来の腕前をもった職人さんに木工事をお願いしなければなりません。

それにより、建物全体を含む施工精度や仕上がりの美しさなど、天然木などの素材をいかに引き立たせて、現場へのこだわりを表現できるか、この辺りの作業になると、施工管理とはまた別の部分としてのセンスや感覚、きめ細かさなどを兼ね備えた職人技を現場に納める事を求める為、現場を管理する側も大工さんの腕前に頼らざるを得ない物件も多々あるということになってきます。

そのようなことから大工さんと言えど、選ばれた大工さんでしか出来ない仕事も沢山あるというほど、木工事の作業内容は奥深く、巾が広いということがいえます。

しかし、今現在では昔に比べて、手間暇をかけて長丁場にわたるような家造りを求める傾向は少なく、無駄をなくし実用性を重視する傾向にあり、コスト面の削減や工期短縮などによる、住宅その物が製品化されたような現場も多く、在来軸組工法(木組みによる土台や柱、梁、筋交いなどを用いて組立る一般的な伝統工法)の場合でも、ほとんどの案件が大工仕事の醍醐味であった手刻みによる工程はなくなり、プレカットと呼ばれる工場での機械作業で木材を加工し、それぞれの部位となる柱や梁などの構造材に加工することが、一般的な流れになりました。

又同じく造作材料、仕上材料に関しても、無垢材などに代わるさまざまな工業製品や加工済みの仕上げ材などの普及も多くなり、そのような材料を使用することにより、加工手間が省けコストパフォーマンスを生み出すことから、材料品質はしっかりと確保しながらグレードを落とすといった意味合いで、コスト的な面に関しては、かなり顧客の要求に対しての柔軟性が広がり、メリットが多くなっていることも事実なので、逆に技術を売りとしていた建築会社からすると、差別化を図った建物ではなくなり、いかにスピーディーに早くきれい仕上げるかがポイントとなる、量産できる形の家造りに移行している傾向になってきています。

そうなると木工事の請負い相場においても、一般的に低価格ベースの料金単価が市場に上がっているため、案件によりコスト面に関しては、かなり厳しい請け負い金額で工事をしてもらうことが多くなったりと、単純化していく大工作業による木工事への変化もかなり出てきています。

といった感じで、現在に至るまでの木工事の過程を簡略化して説明しましたが、引き続き木工事による木造住宅に関しての一般的な知識や常識、工事の過程やポイント、メリットやデメリットなどといった参考になる情報を提供していきたいと思います。