②建て方~木工事外部仕舞いまでの流れ
建て方~木工事外部仕舞いまでの流れ
② 続いて建て方作業(本体躯体工事)~木工事外部仕舞い完了までの工事内容のポイントと工期を、二段階目として詳しくまとめてみました。
ここから本格的な現場での躯体工事中心となる木工事が始まります。
まずレッカーを中心とした揚重作業により、構造材を組み上げていく建て方作業が始まります。
【1階:柱建て込み~床梁組上げ状況】
建て方作業に備えて終了した、土台のほぞ穴と呼ばれる接合部分に、1階部分の柱を順番に建て込み、2階の床梁を組上げ、柱が真っ直ぐになるように屋起こしを行い、1階の建物四周を固めていきます。
【1階:床梁組上げ~屋起こし状況】
次に2階の床合板がある場合は、床梁の上に合板を張り合わせて専用の釘で固定し取付けます。
同じように2階の床梁のほぞ穴に柱を建て込み、2階の床梁と同じように、小屋桁と小屋梁を組上げて、柱が真っ直ぐになるように屋起こしを行い、2階の建物四周を固めていきます。
【2階:柱建て込み~小屋桁、梁組上げ状況】
次に屋根の形状となる小屋組の工事を行います。
同じ要領で小屋梁の上のほぞ穴に、小屋束と呼ばれる短い柱を建て込んでいき、その上に母屋と呼ばれる横架材を組上げていきます。
【小屋組:母屋組上げ状況】
屋根の形状は設計プランにより、寄棟屋根・切妻屋根・入母屋屋根・方形屋根・片流れ屋根・差し掛け屋根・陸屋根などさまざまですが、その母屋材と同じ役割を果たすその一番高い部分の、『棟木』と呼ばれる横架材を納めることを上棟(棟上げ)と呼びます。
【棟上げ状況】
この上棟は皆さんもご存知のとおり、式典を行うくらい、建築工事をする上で一番重要で、一番大切なおめでたい日になるので、事前に良い日取りを決めて前後の工程をしっかり調整し、作業を進めるようにします。
(又特に天候の悪い日は、レッカーでの揚重作業や、高所での作業が中心になるため、視界が悪く足元も滑りやすいく、怪我や事故などが起きやすい状況になるので、特別な理由がない限りは順延し、次のめぼしい吉日を上棟日として定めます。)
次に棟木や母屋という横架材の上に、タルキという羽柄材を屋根の流れ方向に取付けていきます。
【屋根仕舞い:屋根タルキ取付け施工状況】
その上に野地板(無垢板、コンパネ)を伏せて張付けていきます。
【屋根仕舞い1層目:野地板30㎜張り施工状況】
そのあとの施工方法はさまざまですが、一般的な施工方法は、この一層目の野地板の上に、屋根工事によるルーフィングという防水の役割を果たす下葺きシートを張付けていきます。
これで上棟による屋根仕舞いまでの建て方作業の完了を、約6人~8人までの大工さんにより行うことが一般的になります。
さらに、一般的ではない屋根断熱の施工方法のさまざまな一例から、仮に下図の外断熱張りによるシート工法採用の場合、一層目の野地板の上もしくは、タルキの上に遮熱兼断熱シートを張付け、さらに20㎜程度以上の空気を通す通気層を確保できる造作材を、屋根の流れ方向に取付けていきます。
【屋根仕舞い:遮熱シート張り+通気胴縁20㎜取付施工状況】
次に又その通気材20㎜の上に野地板(無垢板、コンパネ)を張付けて、最後にルーフィング材をその野地板(無垢板、コンパネ)に張付け屋根仕舞いが完了します。
【屋根仕舞い2層目:野地コンパネ12㎜張り施工状況】
次に屋根仕舞いが完了した木下地の上に、ルーフィングを張ることにより、屋根防水の処理が完了となります。
これで雨が降ってきても建物本体が濡れることはありません。
【屋根仕舞い2層目:遮熱ルーフィング張り施工完了】
35坪前後の2階建て木造住宅といえど、2層目の屋根断熱までの施工となると、さすがに建て方作業から2日間の日数が必要になります。
次に屋根の軒先部分の鼻隠しや破風板の取付けを行い、屋根廻りの木工事としての作業は完了になります。
【屋根仕舞いケラバ側:杉破風下地及び耐火破風取付施工状況】
次に軸組工事といって柱間の間柱、筋交い、窓台、まぐさなどの取付けを行い、柱廻りを固定してから柱頭・柱脚に耐震金物を取付けていきます。
【木工事:間柱、筋交い、窓台、まぐさ取付施工完了】
次に外壁サッシの取付けや、外壁廻りに透湿防水シートの張付け又は、外張り断熱材の張付け、遮熱シートの張付けなど、
【木工事:外壁遮熱・透湿シート張り+外壁通気胴縁20㎜取付施工状況】
ではなぜこのような通気層を設けるのか、通気層を設けていない建築現場も沢山見かけることがありますが、例えば外壁の壁体内に断熱材を設ける、内断熱工法を例に上げた場合、
このような組合せと機能を生み出すことにより、常に壁体内の環境を新鮮に保っことができて、結露やそれに伴うカビやダニなどの抑制に繋がり、大切な家を守ることができます。
このように通気材を設けることはもちろん大切ではありますが、断熱材や外壁への防水シート関連との組合せと、さらに室内側の気密の取り方や考え方などにより、通気層そのものが機能するか、しないかは施工方法により大きく別かれてきます。
工事中によくに見かける外壁作業の際に、柱の外に構造用合板を張付けて、その上から防湿シートを張付けた後、最後に上から外壁仕上げ材のサイディング張りを行うなど、通気層を設けずに外壁を仕上げていく場合がありますが、どのような考え方で壁体内の断熱材の組み合わせを採用し設けているのかは分かりませんが、結露や雨漏りが発生した場合などを考えると、通気層を取らないより、取った方が建物には良いと思います。
ここまでの内外軸組壁の造作工事から耐震金物の取付け、外壁サッシと外壁シートor外張り断熱の仕舞いによるの通気材の取付けまでの流れを、大工さん2名の作業で、ある程度造作材もプレカットをほどこした流れの工程で、約2週間程度の日数が必要になります。