軒の出に注目!
屋根と軒の出に対する考え方
元々木造住宅ではあまり施工はしませんが、屋根の形状をマンションや学校などを意識した、壁の立上がりを四周に設けた、一見外観は屋根がなく箱形で鉄筋コンクリート風に見える陸屋根の住宅がありますが、そもそもそのよな建物は根本的に、店舗付き住宅や住宅の外観では個々による見せ方や主旨の違いにより、設計段階での打ち合わせで、メリット・デメリットをしっかりと確認した上でプランを決定し進めていかなければいけません。
このような陸屋根に関しての最大のメリットは、やはり洗濯物や家庭菜園などの、人が利用できるスペースが確保できることと、開放的なプライベートスペースを満喫できることが挙げられます。
その反面デメリットとして挙がってくることが、もちろん防水トラブルによる雨漏りです。
特に木造住宅での陸屋根希望の建物は、構造的な部分において建物の揺れや木の収縮などが発生するため、防水工事を施工するにあたり長期による相性がどれも良くありません。
但し、陸屋根風に見せるフラット型の屋根形状に屋根材料を覆う場合の建物などは、全く別な意味になるので工事を行っても構いませんが、ただこのような類いの建物に関しても注意が必要な場合もあります。
どうしてもデザイン的に四周に立上げた外壁の中に屋根を納めようとするため、外壁の内側、すなわち建物内部に屋根と軒樋を納めてしまう事例を見うけることもあり、使用する材料の経年からの雨漏りや、落ち葉やゴミなどの詰まりが原因となる雨漏り、ゲリラ豪雨などによる設計雨量をオーバーした時の軒樋からの雨漏りなど。
どちらにせよデザイン重視の外観を最優先する場合は、建物から屋根を出さない傾向もまれにあり、雨漏りが発生してから、改修工事を行うパターンになってしまうので、以外と当たり前の話ですが、建物の中で雨水を処理する怖さと、起こりうる雨漏りの原因を改めて考慮し、雨処理を確実に行える建物の計画を最優先に考えるようにしましょう。
又前述のような箱形の建物にはもちろん軒の出がなく、そのようなデザイン重視による傾向により、近年では片流れ屋根や差し掛け屋根のような箱形に近い建物や、その他切り妻屋根や寄せ棟屋根に関しても、軒の出が短い建物が多くなっています。
プランやデザイン的な部分などにより、軒の出を短くしている建物が多い中、そのことにより外壁部分がまともに雨ざらしになり、雨垂れや雨染みを早期に発生させたり、経年に伴い直接紫外線を受けるリスクが上がるため、建物への著しいダメージなどは避けることはできません。
外壁の仕上げ材料は、サイディング張りや塗装工事などによる、塗り物の仕上材や現場での塗装仕上による工程が大半になるので、軒の出が短くなるほど劣化や色褪せにより、表面のコーティング機能を通常よりも早い段階で失うことになり、建物が完成してからの外壁メンテナンスによるランニングコストも普通に高くなってしまいます。
用途地域の規制により、北側斜線や道路斜線などそれぞれの場所に伴い、建物の高さに制限があるので、プランによっては屋根形状や軒の出の長さに制限を受けることもあります。
そのような制限を受けない場合は、最低でも外壁から約50㎝以上の軒の出の確保を行い、家を守るための大切な機能として反映させてほしいと思います。