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おすすめはインナーバルコニー!

バルコニーの定義

ケンシン
ケンシン
まずはバルコニーの定義として、バルコニーとは2階以上の建物の外壁から外に張りだした、屋根のない手摺付き屋外スペースのことを呼び、これが1階にある比較的低床型のスペースの場合をテラスと呼びます。

又同じように2階以上で建物の外壁から外に張りだした屋根のある手摺付き屋外スペースのことをベランダと呼びます。

 

 

単純に見分ける方法は、屋根が無い場合はバルコニー、屋根が有る場合はベランダという呼び名になり、本来バルコニーの方が響きは高級でオシャレに感じますが、実はベランダの方がもちろん屋根が付いているので、コストも高く、上品質であるとされています。

 

 

ではインナーバルコニーとは何かとなると、外部空間でありながら建物の中に入り込んでいるスペースを意味するので、捉え方とすると屋根が付いているベランダと同じ解釈になります。

 

 

では簡単な説明を終えたところで、なぜバルコニーやベランダを設けたいのかという話しになりますが、まずは目的の度合いが景色を外に出て眺めたい、天気の良い日に洗濯物を干したい、簡易的なプライベート空間として活用したい、などの一般的な要望は理解出来るのですが、ただただ漠然とバルコニーを設けることは、長期による維持管理を考えた場合、もう少し深く知識を取り入れてから決めたほうが良いと思います。

 

 

一般的に数種類ある防水工法の中で、特に木造住宅の防水工事に適用されるのが、FRP防水(繊維強化プラスチック防水)といって、木下地の上に不燃材料を張り、ガラス繊維を敷き詰めながらその上にポリエステル樹脂を均等に流し込み、さらにもう一度同じように、ガラス繊維とポリエステル樹脂を流し込み平滑に仕上げ乾かし、微調整として凹凸を研磨し、さらに平滑にした後、最後に保護塗料のトップコートを塗り防水層を形成する一番主流な工法になります。

 

   

【バルコニーFRP防水:ガラスマット敷設+ポリエステル樹脂+ガラスマット2工程目敷設状況】

 

 

 

  

【バルコニーFRP防水:ガラスマット2工程目敷設+ポリエステル樹脂塗布+研磨処理の上トップコート仕上状況】

 

 

その他の防水工法に関しても、もちろん防水性能は良くそれぞれの長所、短所を把握し適材適所に工事を行うことにより、それぞれ独自の防水効果を発揮しますが、やはり最終的な材料の耐用年数に関しては、木造住宅の場合では、最も採用の多いFRP防水、又はウレタン塗膜防水で、どちらも約10年前後と言われています。

 

 

但し設置する場所や方角又は、常に直下に雨ざらしを受ける場合や、同じく直下に真夏の日射しや紫外線を受ける場合などは、経年や寒暖差にもそれぞれ影響を受けるため、さらに寿命を縮めてしまうことになるので、木造住宅の防水工事に限らず、どの防水工事を行うにしても、定期的にメンテナンスが必要になることを前提とし、付き合っていかなければなりません。

 

ケンシン
ケンシン
もう少し現実的な話しをすると本来の防水機能の維持管理を確実に行うには、雨ざらしの場所に設けたバルコニーのFRP防水の場合なら、保護塗料としての機能を持つトップコートの塗り替えを、約5年程度を目安に定期的に行うことにより、防水床としての機能をしっかりと維持することができます。


逆に言い替えると、経年していく雨ざらしになるようなバルコニーを設けたプランの場合で、その真下にLDKなどの居室があれば、防水床の維持管理を放置してしまうことで、防水機能がなくなり雨漏りを誘発させる原因となってしまいます。

インナーバルコニーを推奨

このようにプランによって、バルコニー又はベランダは、建物にとってまともに屋根の一部として機能しないといけなくなってしまうので、住むにあたり維持メンテナンスを必ず行なっていかないと、建物を痛めてしまう原因となり、部分的に老朽化を進めていくことになってしまいます。

 

 

不安要素が多い内容になりましたが、もし建築計画の中に敷地が広く庭に洗濯物を干すスペースが十分確保できる場合や、建物に余裕があり、ランドリールームを確保できる場合などは、やはりベランダやバルコニーを計画する必要はないと思います。

 

 

ただこのような内容を把握した上で、ベランダやバルコニーを設けたい場合は、建物への配慮がとれるインナーバルコニーで計画することをお勧めします。

 

 

では早速知識として覚えておいてほしいことが、バルコニーの奥行きが2mを越える場合や、手摺の高さが天井高さの半分以上で天井高さが2,2m未満の場合、バルコニー自体を屋内的用途として使用している場合などは、基本的に延べ床面積に含まれてしまい固定資産税の対象になったり、バルコニーを設けるにおいて工事費が少し上がるなどのデメリットも発生しますが、インナーバルコニーを日々の生活の中で活用していくという場合は、それ以上にデメリットを上回る価値は十分にあると思います。

 

 

その価値として、インナーバルコニーは建物に入り込んだ空間になるので、もちろん屋根の下に配置していますが、さらに軒の出を確保することにより、雨風の強い日でも吹きぶりの雨すら入る心配もなく、洗濯物もめったに濡れたりすることはありません。

 

 

又インナーバルコニーは外部スペースでありながら、屋根と軒の出に守られた空間を造り出すので、防水床が雨に濡れる心配がなくなり、防水層の維持管理も格段に良くなることで、もし防水層に亀裂が発生し不備が起きたところで、雨漏りの心配もありません。

 

 

それともし固定資産税の対象外となる床面積に含まない広さ(奥行き2m未満他)で計画をしても、十分広い安心のできるプライベート空間が体感できると思うので、設計プランと同時にバランスの取れた間取りを計画していくことも楽しみの一つと言えるでしょう。

 

 

外部空間へのあこがれや、プライバシー確保などの意味合いから、洗濯物を2階で干す計画は外せないなどと考えている方には、インナーバルコニーの計画はとても魅力があり、生きた空間として継続的に活用できると思います。