家の本体価格以外の予算とは?【前編】
家を建てるにあたり、総予算をある程度把握していないと、いざ実行に移した際に、予期せぬ費用が邪魔をして、思い描いている計画内容に妥協や、断念せざるを得ない結果へ招いてしまう可能性が出てきます。
本来建築会社側が、住宅ローンの手続きに伴い、▶概算資金計画書などを作成し、ある程度銀行側へアプローチをかけて、融資実行のお手伝いを進めるのですが、やはりいろいろな見えない費用が出てくるため、事前の情報収集により、予算組の計画性をより現実的な形にしぼりこむことが大切です。
今回は、建築本体工事以外に費用のかかる、その他工事をおおまかにまとめてみました。
解体工事費
既存建物が残っている場合、その建物の仕様や、現場条件によって解体費用は異なりますが、一般的な木造住宅2階建て解体工事の場合の坪単価は、3万円~5万円位が目安になると思います。
例として、木造住宅2階建て瓦葺き30坪×¥40,000で¥1,200,000ー(税別)となり、室内家具や家庭用電化製品、家庭用ゴミ関係は別途費用となります。
建替えの場合は、建築工事や建築計画又は、資金計画に圧迫がないように、事前に解体業者に見積書を依頼し、金額を把握しておくことが大切です。
又、解体工事の見積書は解体業者に直接お願いをしなくても、ご自身の依頼する建築会社でも手配はしてくれます。
特に難易度の高い解体物件、変則的な敷地や住宅密集地、現地までのアプローチに問題がある現場(車巾が確保できない小型車限定の道や、急勾配な坂道など)は、
新築する建物の計画配置なども踏まえて解体業者と事前に打ち合わせをすることにより、無駄のない解体計画、それに後続する建築工事を円滑に進めることができます。
地盤改良工事費
地盤改良工事費
まず敷地の地耐力を調べる地盤調査は義務づけされていますが、その調査による判定結果が、軟弱地盤での補強を有するとの場合に、地盤の強度を補う工事として必要となります。
本来どの程度軟弱なのか、表層部分若しくは地中10m以上も軟弱層となっているのか、現場状況も工事内容にも巾があるため、工事金額にはかなり差が出てきます。
又地盤調査は、ほぼ工事契約後に行うことが多いため、契約前の予算組の段階では、工事内容が分からないことと、工事金額もどのくらいかかるのか分かりにくいため、ある程度必要工事として金額を想定しておいたほうが良いでしょう。
目安金額としてざっくりですか、30坪前後の木造2階建て新築住宅における軟弱地盤の深さが平均3m前後の場合、最低でも50万円以上は必要な金額と想定しておくべきでしょう。
外構工事費
この工事は皆さんご存知の通り、建物本体以外の外部廻りの工事のことを意味します。
内容としては、門柱や塀、フェンスなどの柵、ガレージやカーポート、アプローチの土間や舗装関係、造園植栽などになり、工事金額に関しては、敷地の形状や高低差、広さや方角又は、工事をする敷地の長さや大きさなどにより、金額の巾はかなり異なります。
本来外構工事は建物を計画するプランニングの段階で、ある程度視野に入れて平行に進めることが望ましく、外構プランの内容によってはかなり建物を引き立たせることができる工事になります。
しかし現実的に、先行する建物本体工事にどうしても費用を費やしてしまう為、外構工事は後回しになりがちで、費用に余裕がなくなることが多いです。
では外構予算の枠巾はどのくらいに考えておくべきか、一般的な目安金額を算出してみたいとおもいます。
・ 一例として、
『分譲地に多い、敷地面積が50坪で、南側10mの間口に、道路が接道している敷地条件で、高低差は無しとしたオープンスタイルの外構工事の場合、玄関廻りやガレージ土間、カーポート設置、フェンスや塀関係の工事内容を、ベーシックな商品の選定で行ってみました。』
概略の外構工事の内訳として、
① 玄関アプローチ土間下地及び土間タイル貼り仕上げ¥200,000ー
② ブロック門柱廻り(門扉なし)¥200,000ー
③ ガレージ土間コンクリート打設≒30㎡程度¥400,000ー
④ 1台用アルミカーポート設置¥250,000ー
⑤ 片側隣地境界ブロック+フェンス取付¥300,000ー
⑥ 敷地周囲客土及び化粧砂利敷き均し¥150,000ー
⑦ その他設備、雑作業¥50,000ー
⑧ 現場管理費及び諸経費¥150,000ー
小計¥1,700,000ー
消費税¥170,000ー
合計1,870,000ーとなりました。
敷地状況によりさまざまですが、このような条件をある程度満たしている場合の外構費用は最低でも180万円以上は準備しておく必要があるということになります。
これはあくまで私の個人ベースで概算金額を算出しましたが、商品や工事内容を変えることにより、金額の変動も20万円や30万円程度は簡単に変わってきます。
DIY作業の場合、仕上がりはともかく、金額面においては、かなり節約できると思います。
又DIY作業とは逆に、外構工事に重点を置いてハイグレードな形のものを求めるなら、初期段階から建物プランと外構プランを同時に計画することを勧めします。
登記費用
登記費用
そもそも登記とは何か、なぜ必要なのか。
それは外見からではわからない権利関係を、法務局が管理する帳簿に情報として記録することにより、当事者以外の第三者に、入手した土地や建物が、誰のものなのかを明確に示すことができる。
又は示すことを目的とする制度のことを登記と呼びます。
必要性に関しては、法律上この権利関係を登記しておかないと、所有者とはみなされないことになり、極端な例ですが、もしその間に第三者が登記を行った場合、法律上はその登記を行った第三者の所有物になってしまうので、自分に所有権があるとの主張が出来なくなってしまいます。
登記を済ましておかないと、その他様々なトラブルに発展するケースがあるので、不動産を取得した際には早めに登記を済ませることが必要となります。
又、登記には2種類あり、土地家屋調査士により行う土地や建物の所在地や形状、面積などの状況を、測定又は調査により誤りがないかを確認し、図面作成を行い登記申請を行う表題登記と、司法書士により行う所有者の氏名や住所などを明示する所有権保存登記と、不動産を手にするまでの経緯や、誰が抵当権を設定したのかを明示する、抵当権設定登記などの権利部登記があります。
冒頭で記述したように、簡単にまとめると、登記とは自分自身の権利を守る大切な目的として行うものになります。
金額の目安としては、土地、建物の大きさや土地家屋調査士、司法書士への依頼先により少し異なりますが、例として、一般住宅で¥3000万円の住宅ローンを組んだ場合、不動産(土地・建物)登記費用と、登録免許税(実費)の支払い報酬額は、土地家屋調査士に約10万円前後、司法書士に約15万円前後の合計約25万円~30万円前後の費用が必要になります。
建築確認申請業務費
建築確認申請業務費
まず建築確認とは、その敷地や用途に対して、計画する建物が建築基準法に適合しているかを、自治体や自治体から指定を受けている民間の検査機関が確認を行います。
その建築確認を申し込むことを建築確認申請と呼び、その際に提出する申請書は設計事務所や建築会社などが業務を行うことが一般的で、確認申請書に問題がなければ、建築確認済証が交付されます。
この交付を受けることにより初めて工事を着手することができます。
次に中間検査といって木造の構造体が主な検査対象となり、軸組やそれらと緊結する耐震金物などが、申請図面の通り現場に反映しているか現場立会のもと目視にて行われます。
もちろん問題がなければ中間検査合格証が交付されますが、不適合との判断になった場合は是正、ひどい場合は計画変更の手続きを行い、次の工程に進むことかができなくなることもあります。
最後に完了検査と言って、建物が完成した後に、建築確認申請で提出した概要書の中の床面積、建物配置、構造、高さ、階数など、申請図面とまったく同じように、施工できているかを確認する現場での立会検査を行います。
もちろん検査合格の場合は、検査済証という書面が交付されます。
原則として、この検査に合格しなければ、建物自体使用することは認められず、中間検査と同じく、是正又は、計画変更の手続きを行わなければなりません。
尚、確認申請業務費用に関しては、一般住宅の場合、床面積100㎡超~200㎡以下の場合で約25万円前後が目安となります。
又それとは別に、自治体や検査機関に確認申請や中間検査、完了検査この3つの申込みを行う際にそれぞれ手数料がかかります。
床面積の合計や都道府県によってそれぞれ違ってきますが、一般住宅で100㎡超えの200㎡以下の場合は、3つの合計金額で約10万円前後の金額が必要になります。
水道分担金
水道分担金
水道分担金(水道加入金)とは、その土地で利用する水道の権利を買う費用のことで、宅地内に引き込まれている水道菅に新しく水道メーターを取り付け建物へ給水する際に自治体(市町村)へ納付しなければならないお金のことです。
中古住宅の場合は、すでに水道菅が引き込まれている場合が大半ですが、分譲地や更地など、これから新築する場合は水道メーターが取り込まれていないことが大半なので、予算を組む際は忘れないように必ずチェックしましょう。
ちなみに費用ですが、給水菅の口径や各自治体に応じて負担金額が決まっています。
各自治体によっても少し異なりますが、現在の引き込み口径は直径20㎜が支流になり、約20万円前後の負担額が目安となります。
又、水道引き込みと同時に、下水道菅も宅地内に引き込まれているか必ず確認するようにしてください。