良質な外構工事とは
外構工事における一番の魅力は、やはり建物や敷地そのものの価値をさらに引き立たせる計画プランになりますが、しかしそれは工事の基礎知識と、それを反映できる業者で行った場合に限る意味合いとなり、計画プランが良くても、行った業者の総合的な技術力が伴わない場合、外構工事としての完成度も低いものになってしまいます。
そこで大切になるのは、工事を行う計画と携わる職人との関係性なります。
別記事に記載しましたが、外構工事というのは大袈裟に表現すると、ブロック積みやフェンスの取付け、カーポートの設置など、器用な人が数回行えばやれる作業になってしまうので、悪く例えるなら、まだまだ一人前ではない日当の安い見習い職人でも、作業を行うことは十分可能になります。
又、インターネット上などでフェンスやカーポート他、さまざまな商品のみでの販売価格など、調べれば調べるほどその価格がある程度わかるので、そのような値段競争に勝つために、特にハウスメーカーにありがちな外構工事をそっくりそのまま請け負う業者や、その場合の営業戦略として、その下請け業者の技術力を見るのではなく、まず出来上がったプランに対して、とにかく安く工事を請け負うことができる業者かどうかを最優先に考え、工事の質を落とすことにより、価格勝負とネームバリューで受注を得てから利益を絞り出すことも当たり前に行っているようです。
さらにそこから下請け業者に値段交渉をお願いするなど、やはり工事内容ではなく工事金額や利益率を最優先に工事を行う傾向が多くなっているようです。
このような外構工事の利益の作り方として、まず一つ目が同じようなプランで、同じような商品の受注をなるべくたくさん得ることで、大量の商品と材料を格安で仕入れることにより、値段で競合との差別化を図ることを行います。
二つ目に上記による説明にもあげましたが、とにかく人件費を安く、工事を請け負う業者を選定することに重きを置きながら受注を得ることで、さらに低価格で工事を行うことが可能になります。
すなわち、同じ類の外構工事をたくさん受注しながら、安請け負いする業者に工事を委託し、さらにそのような利益率の少ない業者には、その他複数の案件を渡すことにより、その複数の案件の中で商品と人件費の調整を行い、スピーディーに早く工事を完成させて利益を得るというサイクルにより、なんとか工事をこなしている外構業者も少なくはないようです。
ですから外構工事が始まってしまうと、なにが良質なのか、どこを良質にすれば良いのかわからなくなるのは当たり前で、ではその良質な工事とはどこでわかるのか、どこで見分けるのか、それは初期段階においてやはり工事に入る前の見積書に記載した作業内容の説明と、計画する外構図面や、作業工程の詳細説明により理解する他、それ以外ではなかなか分かりにくいと思います。
その他プロ目線からのアドバイスとしては、何事も工事計画を説明するにおいて、自社の携える業者に自信を持って工事内容を細かく説明できる建築会社若しくは担当者なら、工事を発注するにおいて絞り込める安心材料の1つに挙がると思うので、最後までしっかりと話を聞くことをお勧めできると思います。
表面的な仕上がりによる綺麗汚いはある程度目視すればわかるものですが、地中に埋まる見えない部分に対して、どのような見積をして工事を行っていくのか、又は具体的な作業による基礎知識をしっかりと兼ね備えた業者であるのか、その辺りの確認も踏まえながら、業者選定する必要があります。
今回はそのチェックする外構工事の中で確認してみてはどうかと思う事項を一つ取り上げてみました。
ガレージ土間の工事について着目し、解説していきたいと思います。
同じガレージ土間でも、土間の厚みを100㎜の厚さにするのか、150㎜の厚さにするのか、普通自動車や大型車両など、重量により土間の厚みや、コンクリートの強度を増すことも可能になり、当然厚みと強度が上がることにより強固な土間にはなりますが、歩行のみの土間には厚さ100㎜以下までの土間で十分になるなど、計画する場所により厚みもコンクリートの強度も違います。
ガレージ土間の一般的な厚さは100㎜程度でコンクリートを打設することが多いようですが、私個人的には、重量のある乗用車などを駐車する場合のガレージ土間や、多目的要素なども兼ね備て、重宝したいスペースと考える場合の計画する土間の厚みとしては、150㎜程度までのコンクリートを打設し設けたほうが、ガレージ土間本来の耐力的な機能と、使用するにあたり長持ちする土間に仕上がるかと思います。
又その土間を長持ちさせるためには、土間コンクリートの厚みだけではなく、コンクリート打設前の下地への準備工事が大切で、外構工事で行うガレージ土間や歩行用の土間は、基本的には構造的なスラブ土間ではないため、経年により沈下や直接的な荷重に影響を受けてひび割れが発生してしまいます。
ガレージ土間などの構造スラブではない土間で、一番大切になる工程が、地盤の沈下を防ぐための転圧作業になり、この作業を十分に行った上で、強度には直接関係はないですが、コンクリート土間の割れ止め防止の対策として、高さ50㎜以上のスペーサー(規格サイズのコンクリートでサイコロ状のもの)の上に、メッシュ筋φ6㎜以上のものを敷設し、しっかりとかぶり厚さを確保し、コンクリートと一体化させて仕上げることにより、少しでもガレージ土間の割れを防止することができます
又割れ止め用のメッシュ筋ではなく、土間自体の強度上げたい、土間の沈下による破断を避けたい、などの対策を行いたい場合は、コンクリートの弱点である引っ張り強度を補うことができる、10㎜以上の異形鉄筋を縦横200ピッチ程度で組むなどの提案で工事を行い、かつ設計基準強度24N/㎜²のコンクリートを120㎜~150㎜の厚みで打設し、左官押さえを十分に行ったガレージ土間を設けた場合などは、かなり耐久性のある長持ちする土間に仕上がるかと思います。
しかし実際によく見かけるガレージ土間のコンクリート打設前の状況では、細いメッシュ筋を地べたへ置いたままコンクリート打設を行い、打設しながらメッシュ筋を引っ張り上げて、その打設するコンクリートの間へメッシュ筋を挟み込むようにしながら打設工事を行っている現場も多く、基本的にガレージへのコンクリート打設の場合、打設するコンクリートの中に作業員が入りながら打設作業を行うため、間違いなくメッシュ筋を踏み倒しての打設作業になるので、コンクリートの中にはほとんどメッシュ筋は挟み込めていない状態になり、極端にいうと地べたへメッシュ筋を置いたままでコンクリートを打設しているようなもので、メッシュ筋を敷設している意味がなくなっていることが大半です。
それなら逆にコンクリート土間打設後に、メッシュ筋を上から順番に敷き並べ50㎜程度沈めて、土間を順番に荒押さえで仕上げていくほうが、まだ確実にコンクリートと一体化が図れるのではないかと思うのですが。
又このように重宝するガレージ土間の厚みを100㎜から150㎜に掘り下げ、コンクリート強度をワンランク上げてたところで、乗用車2台用の一般的なガレージ土間の広さなら約30m2程度なので、追加金額に関しても¥10万円程度まではかからない工事になると思います。
しかしそれが安いか高いかは、それぞれが求める利用価値により違ってはきますが。
つまり事前の打ち合わせにより作業内容の具体化を図ることで、ガラリとご自身が求めている理想の考え方で、良い方向性に工事が変わる可能性もあり、その事前打ち合わせにより、さらに生きたお金を支払うことができることと、そのような親切で専門的な案内を受けた場合に、依頼する業者が優良業者であるかどうかもある程度分かってくるかと思います。
このように初期段階でしっかりとしたアプローチをかけることで、依頼した工事業者自身もより注意を払い、より工事と向き合うことを意識すると思います。
最後に補足説明として、もう一つ土間のひび割れ対策として、ガレージ土間などの大きな面積の場合には、伸縮目地又はスリットなどの溝を設け、土間自体の縁を切ることにより、ひび割れ防止対策に繋がるため、最近では必須作業として一般的に行われています。