魅力的な平屋？メリット・デメリット

平屋といえば、やはり2階へ上がる階段のない、究極のバリアフリーといえる建物になり、年輩の方に人気があり、老後のセカンドライフを視野に検討したい理想の家といえるのではないでしょうか。

最近では、若い世代の方にも、将来性を見据えた平屋ならではの優しい暮らしを求め、検討される方も多いと思います。

平屋と聞くだけで、くつろげる空間と、広々とゆとりのある時間をもたらしてくれる印象が強いように感じますが、実際の所どうなのでしょうか。

今回は平屋のメリット・デメリットを取り挙げてみました。

目次

1.平屋のメリットとは

2.平屋のデメリットとは

3.平屋の魅力を生かし、コストを抑えるコツとは

平屋のメリットとは

① 各フロアーへの移動が楽で、効率的な暮らしができる。

そもそも2階部分がないので、洗濯物をベランダやバルコニーへ干したり、掃除機を持って2階の部屋を掃除したりと、一般住宅必須の生活導線である、階段へのアクセスがないので、階段を毎日上り下りするという、大きいストレスが解消できます。

やはり誰もが高齢化していく中で、ワンフロアーでの生活は非常に効率的で且つ、家事や移動などが楽になることがイメージできると思います。

② 家族との距離が近くなる。

2階建てに多いパターンが、子供部屋を2階に設ける、というプランが一般的になるので、子供の成長と共に距離が離れるというケースがありますが、平屋の場合はワンフロアーで、常に家族の気配を近くに感じられるため、自然とコミュニケーションが取れる暮らしが高まりす。

平屋でのリビングとの間取りをさらに上手く造ることで、リビングに集まる時間が増え、家族との距離が近くなります。

③ 耐震性に優れる。

平屋は2階がないため、1階部分に負担がかかりません。

そのため耐震性が上がり、構造的な部分で安定性のある建物になります。

又、2階部分の負担がないので、柱を少なくしたり、外壁の開口部分を大きくした、大空間への構成が行いやすくなります。

④ 外壁廻りのメンテナンス費用が抑えられる。

住んでから必ず必要になるランニングコストですが、特に一般的な2階建て住宅の場合の、屋根や外壁に関しては、その部位だけのメンテナンス工事という訳にはいかず、作業できない距離や場所を、作業できる距離と場所にすることができる、▶仮設足場の組み立て作業や、それに伴う高所での安全対策など、間接的な工事が必要になり、その分のメンテナンス費用が必要になってきます。

【外壁改修工事：外部足場組立施工完了】

しかし平屋の場合は、地面から軒裏までの距離は4mまでの住宅が大半なので、仮設足場の組み立て作業も少なく、メンテナンス工事も比較的容易に行うことができるので、住んでからのランニングコストも安く抑えることができます。

⑤ 屋外に出やすく開放的で且つ、災害などのの緊急事態に有利で安心。

建物四周に面する部屋から、直接地面に出ることが可能になるので、はきだし窓を設けたり、さらにはテラスやウッドデッキなどを設けることで、屋外への開放感を楽しむことが可能になります。

又、災害などの緊急事態にも、直接地面に近いので、避難がしやすく、安心して生活することができる。

⑥ 自由度ある開放的空間を創りやすい。

平屋は2階がなく、構造的な部分でも有利に働くので、天井を自由におしゃれな空間に設計しやすくなります。

構造梁を化粧で見せる方法や、小屋組を露わにしたログハウス調の天井、屋根の形状を生かした勾配天井など、さらには照明器具によるライトアップにより、おしゃれで自由度の高い開放的空間が演出できます。

平屋のデメリットとは

① 広い敷地が必要になる。

計画する家の大きさにもよりますが、2階建ての2階部分をなくした造りが平屋になるので、当然なくなった2階の床部分の面積を、1階部分で補うという考え方になるので、当然それだけ広い面積の敷地が必要になります。

又平屋で建てる場合、その建てる大きさや場所により、▶建ぺい率という建築基準法上での規定が定められていて、その購入する土地に対して、建てられる家の大きさに制限がかかります。

特に、上部空間を利用しない平屋を検討するなら、駐車場や外部物置、お庭の計画などは、建物と同時に計画するようにしましょう。

② 防犯面での配慮が必要になる。

少し極端ですが平屋は、2階建ての2階部分を1階部分へ降ろして取り付けた建物になるので、当然外部から侵入できる範囲が広がります。

特に、窓廻りの防犯対策として、外部から死角になる場所には必ず、シャッターや防犯ガラス、面格子の取り付けをお勧めします。

③ 建物の坪単価が上がりやすい。

表面化に聞くと意外と思うかもしれませんが、同じ床面積の平屋建てと、2階建ての坪単価を比較すると、平屋建ては2階建ての家より坪単価は上がります。

ケンシン

例えば、外壁に凹凸のない、層2階建ての2階部分をそのまま1階へ降ろし設置しようとした場合に、まずその2階部分を降ろすための基礎がないので、その設置する床部分を補う基礎工事が必要になります。

次に、その2階部分を切り離し、残された建物の屋根を塞がないと雨が入るので、必要とする面積の屋根工事を行わなければいけません。

このように、坪単価が上がる大きな要素として、同じ床面積でも、▶基礎工事と屋根工事の仕事量が大きく増えることで、単純に坪単価は上がります。

④ 家の中央部分に光が届きにくい。

プランにもよりますが、平屋の床面積を大きくすればするほど、家の中央部分に光が届かなくなり、昼間でも少し暗く感じる場合があります。

採光をより良く取り入れたい場合は、家の形に配慮する必要があります。

例えば、コの字型で中庭のあるような平屋や、L字型になった少し長方形の平屋で計画をすることも有効的になり、上手く採光を確保することができます。

しかしこのような計画には、まずある程度大きな敷地が必要になり、外構計画も同時に行う必要があります。

⑤ 税金が高くなりやすい。

2階建てと比較し、延床面積が同じ場合、平屋建ての方が広い敷地面積を必要とするので、土地に対して評価額が高くなります。

建物部分についても、基本的には外壁や屋根の広い面積を有する平屋の方が、評価額は高くなります。

平屋の魅力を生かし、コストを抑えるコツとは

① 家の形や外観をシンプルなものにする。

基本的な話になりますが、まず外壁構造に凹凸を造らないことが一つのポイントで、外壁に凹凸が数ヶ所出てくると、作業手間と使用する材料も増えるため、コストがかかります。

又、同じように屋根の形状にも影響するため、同じく作業手間と使用する材料が必要になるので、コストが加算してしまいます。

ケンシン

しかし、良く見える外観に関しては、しっかりとアクセントを施した、凹凸のあるデザインにし、外観が見えない部分に関しては、凹凸のないシンプルなデザインでまとめることで、生きたコストバランスが実現します。

外観は基本シンプルなデザインをベースにして、間取りから成り立つ、サッシの配置やデザイン性により、外観の見せ方を工夫することも重要なポイントとなります。

② 屋根の形状をシンプルなものにする。

家の形と外観の話と同じく、屋根の形状にも同じことが言えます。

凹凸のない外観への屋根葺き形状の相性は、特にコスト的に有利な片流れ屋根、切妻屋根、差し掛け屋根がお勧めで、室内の吹き抜けを空間を設けるなら、おしゃれな空間をアプローチしやすい屋根形状にもなります。

③ 室内の間仕切り壁と、室内建具を少なくする。

まず平屋全体を、ワンフロアーと考えた場合、プライベート空間を確保する、廊下の有無を明確にすることで、間仕切り壁や内装建具を少なくすることができます。

ケンシン

例えば、LDKの廻りへ造作した間仕切り壁を設け、目隠しとして、上手くその壁を利用することで、LDKから直接全ての部屋へアクセスできるプランを計画することができるので、そのような考え方のスタイルが合うようなら、上手くコストダウンを図ることもできます。