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動線計画による間取りの大切さについて

動線計画による間取りの大切さについて

まず、昔の建物は玄関入口横に応接室とよばれる客間を設け、いろいろな来客に対して、リビングやダイニングなどの空間から動線を外し、プライベート空間を確保した、ある程度固定化された間取りが主流となっていたことが多く、単純で面白味のない間取りではありますが、生活する上において、居心地の良い落ち着く空間であったと感じます。

 

 

分かりやすく例えると、玄関を正面に廊下や階段、東側に応接室(客間)、北側にLDK、西側に6畳間や8畳間を設けた座敷など、昔ながらの田の字型と言われる間取りです。そんな生活空間の中には、3つの動線が発生し、これらの動線がなるべく交わらないようにな間取りを実現することにより、ストレスが少なく感じるようになります。

 

 

一つ目が生活動線といって、リビングやお風呂・トイレなどの生活する移動経路、二つ目に家事動線といって、炊事や洗濯などの家事をする移動経路、最後に第三者(お客様)の移動経路となる来客動線になります。

 

 


全てではないですが、田の字型の間取りは、その3つの動線をクリアーしやすい基本的要素が含まれています。

 

 

現在では、ほぼ田の字型の間取りに固執することなく、遊び心を兼ねた斬新で開放的なプランや、吹き抜けを生かした明るい空間を設けるなど、敷地条件や建築する工法、使用する材料、それぞれのご家庭の要望などにより、巾広いバリエーションで建物を構築することが一般的になっています。

 

 

近代化した建物は、確かに見た目や格好、使い勝手は現在の環境にマッチしていて聞こえは良いですが、肝心な動線計画が二の次となっていることが多い傾向にあります。

 

ケンシン
ケンシン
単純に住宅本来の目的はご自身との相性、つまりリラックスできる住み心地の良さを第一にシュミレーションを行い、ある程度ご家族皆さんが成長した先の過程を見据えた、動線計画を反映させることがすごく大切になります。


建物へのイメージがあまり沸かなければ、実際にショールームへ行くなど、さまざまな家の間取りと空間を体感することで、家造りを実行する前の大きなメリットとしてご自身の計画へ取り込むことができます。

 

 

但しショールームの間取りは、お客様を集客するためのツールなので、デザインや間取りなどは良くも悪くも大袈裟に表現し、各社それぞれ宣伝するために必要な場であることを理解しながら、ご自信のイメージに合う間取りかどうか、又はそれぞれの部屋の大きさを確認し体感することなどをベースに、内覧するとにより有益な時間に繋がると思います。

 

 

その中で特に来客動線について、留意しておきたいポイントを具体例として挙げてみます。

 

 

・玄関からキッチンへ行く動線として、家族全員が必ずリビングをまたぎ通過していなければならないプラン。

同じくお客様を迎えた場合、玄関~ホールを経て直ぐにリビングへ案内、そこからご自身がダイニングキッチンへと向かう動線プラン。

 

 

・リビング階段を計画した場合の、2階へ行く動線経路として、まともにリビングを通過し横断してしまう動線プラン。(特にテレビの前などの横断。)

 

 

・ショールームによくある、吹き抜け空間から、まともに見渡せるリビングやダイニング、キッチンとの配置。

 

 

など大まかに3つの事例を取り上げてみましたが、現在このようなプランがかなり主流にはなっていますが、どれもくつろぎの場であるリビングのありかたとして、第三者との線引きが曖昧になり、プライベート空間が筒抜けになってしまい、のちにゆったりと落ち着かない空間に感じてしまうことも出てきます。

 

 

実際に住んでみて、最初はショールームなどで見て感じた、開放的でオシャレな夢のある空間を、少なからずご自身の要望として取り込みたい、又は取り込んだものの、実際に生活してみると、次第とくつろぎの場であるリビングに、居心地の悪さを感じ改装計画の相談を受けることも珍しくはありません。

 

 

ですからリビングを中心に、家族や第三者による来客も踏まえて、賑やかに開放的に使いたい、又は来客などはあまり気にならないと考える方以外は、リビングの配置と動線については、しっかりと検討し安易に考えないようにしなければいけません。

 

 

平面計画と共に、ショールームなどで、間取りを体感することはとても大切な事であり、さらに今記載した留意点などを加味することにより、どの動線を最優先に考えるのか、設計段階での動線計画にしっかりと時間を費やしウェイトをおくことで、少しでも後悔しない家造りが実現できると思います。