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新築住宅の効果的なコスト削減方法について

理想の新築住宅を建てる場合、ついつい夢が膨らむあまり家の大きさや形状、間取りやデザイン、設備機能など、本来普通に私生活を送る以上に欲張った要望を求めてしまうことが、家を建てる前の心情というものです。

 

 

又それらに伴い、建物全体の価格帯も大きく膨らんでしまうことは珍しくはありません。

 

 

このように、要望が大きく建築予算がオーバーしてしまう場合、家のどのような部分を対象にコスダウンを図れば良いのか、又は建物全体のコストパフォーマンスを上手く図れる建物とはどのような方法なのか?など、今回は新築住宅のコスト削減について、家の大きさや間取り、家の形や機能的な部分をベースにどのような内容があるのか取上げてみました。

無駄のないコンパクトな大きさの家にする

一般的な話で、よく家の価格を坪単価で表現しますが、家の大きさが大きくなればなるほど、工事価格は上がっていきます。

 

 

例えば、40坪の家の大きさに対して、坪単価60万円の家とした場合、工事価格は¥2,400万円になります。

 

 

ここで仮に計画プランを再検討し、無駄な空間を5坪削減した場合、家の大きさは35坪となり工事価格は60万円×35坪の¥2,100万円になります。

 

 

このような考え方の場合、単純に≒¥300万円のコストダウンを図ることができたという解釈になります。

 

 

 しかし、この考え方はあまりにもアバウトな考え方になってしまうので、もう少し深く掘り下げ考える必要があります。

 

 

一概に家の大きさを1坪小さくしたからと言って、例に上げた60万円の坪単価がそのままコストダウンの対象になる訳ではありません。

 

 

仮に非現実的でありえない一例として、浴室と脱衣室を省いたプランを想定した場合、その省く坪数には集中的に設備機材の金額が大きく乗っかっているため、基本的に水廻りの坪単価はかなり高額になってきます。

 

 

そのため、単純に水廻り部分の坪数を削減した場合、坪単価60万円というベースになる金額は、軽く越えるであろうイメージはなんとなくわかるかと思います

 

 

このように水廻り設備機材、階段や玄関ドアなど、どんな家にも必須となる、一般的にコストダウンを図れないような費用のことを、固定費と呼びます。

 

 

 逆に廊下や各居室などは、天井・壁・床などのある程度必須となる一定部材で構築されているため、おおよそ均等に坪単価に数字が反映しています。

 

 

つまり、設備機材以外を省いた家に使用する建築部材や建築工事などは、家を大きくしたり、小さくしたりすることによって、大きくコスト面に影響してきます。

 

 

のように、水廻りや設備機材以外の部分を省く、家の大小で工事金額に影響をもたらすものを、変動費と呼びます。

 

 

 ではこの話の内容から、実際に1坪あたりの面積を削減することにより、どの程度のコストダウンが図れるのでしょうか。

 

 

目安としては、坪単価が高くなる固定費ではなく、変動費の部分でのコストダウンが対象となるので、減額金額の割合は少し安目となります。

 

 

では実際に、坪単価60万円の家から1坪減らしコストダウンを図った場合、経験値も踏まえた上での目安金額として、ざっくり半額(≒¥30万円程度)のコストダウンを図ることが想定できます。

 

 

このようにざっくりですが、坪単価の変動金額を知識として覚えておくことにより、予算的に家をコンパクトにする必要があるのかないのこか、少しでも判断できる考え方が広がります。

 

 

又その他、基本的に家をコンパクトにするアドバイスとしては、無駄な廊下やプランによりそもそも廊下が必要なのか、いびつになったデットスペースはないのかなど、無駄になるであろう動線スペースを無くすことにより、より計画密度の高い家が実現できると思います。

家の形状をシンプルにする

平面上凹凸のある家と四角の家、どちらが費用のかからない家かというと、もちろん答えは四角の家です。

 

 

当たり前ですが、家の形状を凹凸化すればするほど、材料費と手間が必要になります。

 

 

そのため計画的には、家の形状は凹凸化させないシンプルな形状になるよう意識しながら計画をすることが大切になります。

 

 

しかし、こだわった外観デザインを重視される方や、いびつになった敷地条件での建築工事を行う場合などは、少し例外になってきますが、そのような考え方の中にもコストダウンを図る大きな要素があります。

 

 

例えば、建物が立地条件によって死角になり外観自体があまり見えない外壁部分や、見えにくいであろう外観部分を想定できる場合などは、できるだけその外壁面は凹凸なくシンプルなデザインになるよう計画し、よく見えるであろう外壁部分には意図的に凹凸を用いて、さらに全体のバランスを考察することで、建物自体に奥行感を出すこともできるため、より意味のある重厚感も兼ねた外観を表現することができます。

 

 

このように表面的発想ですが、うまく建物の形状をコントロールすることにより、納得のいくお金の使い方ができるようになります。

 

 

ちなみに経験上の経緯も踏まえたざっくりとした目安金額として、家の出隅が1ヶ所増えると≒¥20万円前後のコストアップに繋がると想定し、建築計画を検討してみると良いでしょう。