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④外壁モルタル塗りの場合の左官工事~伸縮目地防水工事までの流れ

外壁モルタル塗りの場合の左官工事~伸縮目地防水工事までの流れ

④ 続いて外壁仕上げをモルタル塗りで行った場合の、外壁左官工事~伸縮目地防水工事完了までの工事内容のポイントと工期を、四段階目として詳しくまとめてみました。

 

 

まず外壁左官工事によるモルタル塗りを行う場合、準備工事として窓廻りにビニール養生、下屋などの庇がある場合にも屋根に養生などを行っていきます。

 

   

【左官工事:窓回り、下屋養生完了】

養生を行う意味は当たり前ですが、外壁に塗り付けていくモルタルが窓や下屋、庇などに落ちたり、汚したりすることを防ぐために行います。

 

 

 

 

次に木造住宅ではあまり行っている左官業者さんは少ないと思いますが、躯体直しといって、木造住宅ではさまざまな外壁への作業工程が行われていて、例えば分かりやすい例として、高気密・高断熱住宅の外張り断熱工法の場合、

ケンシン
ケンシン
柱から外側へ持ち出す壁厚は一例として、断熱材の40㎜+通気材20㎜+ラス下地12㎜までの最大72㎜程度となり、断熱材を通気材によりビス打ちで固定していく場合など、工具使用時の工具自体の打ち込み強度や、大工さん自身のビスの打ち込み加減などにより、使用する断熱材に少しひずみが生じます。

そのため通気材一本一本の出面が変わりますが、そんな狂いによる修正作業はできないので、そこへそのままラス地を張付け、さらにラス工事を行っていくので、不陸がなくなることはありません。

 

 

このような内容も視野に入れながら、躯体の歪みや反りなどの不陸(凹凸)のある建物を、左官モルタルなどの液体材料で微調整をかけて、外壁を真っ直ぐに形成していきます。

 

 

まず外壁の出隅の角に真っ直ぐに糸を張り込み、建物の基準となる通りを作っていきます。

 

 

又それらの作業と同時に、建物四周の出隅糸を基準に外壁の通りが真っ直ぐに通っているかを、上下左右から確認し、一定のスパンで上下方向に出隅の角のラインと同じ通りに、中央部分やその他の外壁ラインに糸張り作業を行っていきます。

 

 

その作業が終了したあとに、建物の出隅の角に張り込んだ基準糸にコーナー定規を張り込み出隅の角を固定することにより、外壁モルタル塗りの準備工事が完了します。

                                               

【左官工事:各所糸張り、コーナー定規取付け施工完了】

 

 

 

 

準備工事が終われば、外壁にモルタルを塗付けていきますが、基本的に塗り厚は15㎜以上を目安として、一回に厚塗りは厳禁としています。(但し用途地域により、耐火構造・準耐火構造を必要とする場合は、20㎜以上のモルタルの塗り厚が必要になります。)

 

 

下塗りを行う際のポイントはモルタルを力強くラス網にしっかりと塗り込んでいくことです。

 

     

【左官工事:外壁下塗りモルタル施工状況】

 

 

 


ここでもうひとつ大切な作業があります。

 

 

外壁のクラック防止対策として、下塗りを行った直後にメッシュシートを張り付けて、金コテで塗り押さえていきます。メッシュシートにもグレートはありますが、この工程を加えることにより、またさらに外壁の強度と品質が向上します。

 

  

【左官工事:外壁下塗りモルタル施工及びクラック防止用メッシュシート張込み施工状況】                  

下塗り完了後は、約1週間程度の養生期間を置きますが、夏期や冬期などの施工時期や現場の状況により乾燥期間は異なります。

 

 

 

 

次に中塗りを行う前に、それぞれ一定のスパンに張り込んだ外壁の通りとなる基準糸に沿って、伸縮目地を取付けていきます。窓廻りにも同じく出面を揃えて伸縮目地を取付けていきます。

 

この縦に取りけていく伸縮目地を化粧目地にすることにより、外壁モルタルにクラックが生じにくくなります。

 

    

【左官工事:外壁伸縮目地取付施工状況】

ケンシン
ケンシン
そもそも伸縮目地の目的はその縦目地にクラックを誘発させるための目的で施工するものなので、経年により目地にクラックが生じることにより機能を果たします。又別名を誘発目地とも呼んでいます。(※この伸縮目地は木製の製品で、コーキングで取付けを行い、上塗り完了後の外壁モルタルが硬化して乾燥した後に全て取外します。)

 

 

 


次に乾燥した外壁下塗りモルタルの上に中塗りを行いますが、その前に密着不良を起こさせないように、専用の接着剤を塗布していきます。

 

接着剤がしっかり乾燥してから、外壁仕上りの基準として張込んだ伸縮目地を基準に中塗りを行います。

 

ポイントとしては、上塗りが均等に塗り込めるように、下塗り工程での薄い箇所に地直しを行う感じで塗り込んでいきます。

 

  

【左官工事:外壁中塗りモルタル施工状況】

このように中塗りに関しては、地直しとして塗り込むため比較的薄塗りになるので、乾燥期間は約4日~5日程度あれば上塗り工程が可能になります。

 

 

 

 

最後に上塗りですが、伸縮目地の出面を基準に定規で塗り合わせて、力強くモルタルを塗り込んで仕上げていきます。

 

  

【左官工事:外壁上塗りモルタル施工状況】

 

 

 

 

このような流れにより、準備工事の大切さに着眼点を置いて仕上がった外壁は、ガレージなどの土間仕上がりのように、施工精度がとても高く、むらが無く綺麗な仕上がりとなります。

 

    

【左官工事:外壁上塗りモルタル施工完了】

ケンシン
ケンシン
木造住宅による外壁左官塗りの一般的な仕上がりは、夕方の西日や光のあたり具合により、かなり塗りむらのある波打った外壁仕上がりが多いです。

基本的には糸張りや、その糸から外壁ラインの仕上げ基準となる、クラックを誘発させるための役割を兼ねた、伸縮目地棒の取付けによる準備工程が、外壁仕上げの精度を握る大切なポイントになっています。

 

 

 

 

そのことから次の仕上げ工程である塗装工事は、モルタル下地の影響をそのまま受けてしまうので、木造住宅の外壁左官工事はかなり重要な作業になっています。

 

 

ここまでの左官工事による準備工事~上塗り完了までの実働日数だけで約2週間は必要になります。

 

 

 

 

次に左官工事の上塗り完了後に、ここでも約1週間程度の養生期間を置いた後に伸縮目地を取外します。次に防水工事として、取外した伸縮目地の溝にプライマーを塗布し密着性を向上させた後に、底目状に少し凹ませてコーキングを打設していきます。

 

コーキング打設完了後も約4日~5日間の乾燥期間が必要になります。

 

  

【左官工事:外壁伸縮目地シーリング打設完了】

ここまでの左官工事~伸縮目地コーキング打設完了後の養生期間までを含む作業日数は約1ヶ月半弱程度必要になります。