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機能が多すぎる建物にしない

機能が多すぎる建物にしない

皆さんが特に、夏場や冬場に大変お世話になる冷暖房機能を例に挙げた場合、エアコンや床暖房を各所で主の冷暖房と考えるのではなく、ある程度建築工事本体での断熱性能を確保し、年間を通して夏場なら家全体を、エアコン1台で快適に過ごせるようなイメージの住宅を建築することが本来理想です。

 

 

現在の住宅事情においては、冷暖房の設備機器はフル稼働させることなく、常時負荷をかけずに稼動させる、あくまで補助設備として考えてよいくらい、断熱機能に優れている住宅が数多くなってきています。

 

 

今回は住宅そのものによる直接的な内容ではなく、そんな進化する住宅へ取付けを行う設備機器や備品類の考え方について、無駄に費用を費やすようなら、本来このように快適に過ごせる断熱機能に着眼点を移すべくよう感じた内容について説明したいと思います。

 

 

それでは設備機能として、一度よく考えてから決定した方が良いと感じる事項を以下に挙げてみました。

 

1. ユニットバスにテレビや音楽などを視聴出来る機能を設ける。

 

2. 手動式のシャッターを電動式にする、さらにはメインとなる集中型のリモコンを設け、そのリモコンボタン一つでその場所から、その他に設けた電動シャッターを全て連動させて開閉させるなどの、集中型の制御を設けた機能


3. 電気やガスを主とした、床暖房を各所に設けた機能。


4. トイレに掃除機能や音楽が流れる機能を設ける。


5. キッチン上部に設置する収納棚を自動式昇降機能とし設ける。


6. 空調工事による天井埋め込み型エアコンと、それらに伴い隠蔽型配管を必要とする工事。


7. 太陽光発電の取付工事。

 

 

など、その他においてもさまざまな機能を設け快適に生活することが可能になりますが、機械にも当たりはずれがあり、故障することによりメンテナンス費用がかかり、又経年により使用頻度の少い機材もいつしか故障、若しくはメンテナンスに費用を費やさなければならない状態になってしまいます。

 

 

毎日あわただしく過ぎる生活のなかに、快適さや癒しなどの設備機能の初期投資により、無駄なく抵抗のない時間を求める事は凄く理解できるのですが、本当にご自身が必要なものに順位をつけて計画しないと、経年するにあたりただの飾りにすぎなくなってしまい、無駄な浪費となってしまいます。

 

 

その結果、目の当たりにする事例として、設備投資に費用と力を注いだお客様のご自宅に、久しぶりに訪問した際に、実際に生活してからの声を伺ってみると、費用を費やした浴室への音楽機能やテレビ設置などを設けたものの、最初はもちろん興味を持ち使用してたようですが、今はまったく使用していないようでした。

 

 

もちろん現在は音楽やテレビですらスマートホンで視聴する時代なので、その当時オプションで付けた、何十万もの費用のかかったテレビなどは、今や希少価値もなくなっていますが、それよりもすでに故障していて見れない状況でそのまま放置していたことに、浴室に費やしたテレビの値段とその価値に対して、改めて使用する割合とその必要性の低さを感じてしまいました。

 

 

続いて引違い窓や、掃き出し窓に多い、シャッター取付けに関しての事例ですが、使用頻度の多い窓に手動式シャッターではなく、電動式シャッターを採用することはメリットが多くなり便利になると思います。

 

 

この内容から大きな住宅を検討した場合に、必然的に窓の数が大きくなる傾向が出てきます。

 

 

そのため防犯上を気にする方はもちろんシャッター付き窓をそれぞれ1階、2階共に設置する方が多く、2階へのシャッター開閉に利便性を求めるため、ある一定の場所から全てのシャッターをボタン一つで自由に自動で操作ができる、集中制御型リモコンという優れた設備機能を設ける方が稀にいます。

 

 

しかし、意外と生活してみてからの使用頻度を伺ってみると、建築当初の理想と現実との間に温度差があり、特に2階部分などは住んでみてからはめったにシャッターを開閉することがないみたいで、故障ではないのですが、一度異音がするとの事により修理依頼をした際に、『たまには電動シャッターを作動させた方が良い』とのアドバイスをメンテナンス業者から受けたみたいで、今となっては商品のみならず施工費もふまえ高額な費用を払ってまで、一連の電動機能にする必要があったのかと思うぐらいに必要性の無さを感じてしまいました。

 

 

続いて、ガス給湯器型のお湯での床暖房機能になりますが、とにかく人気があり直接温かさを床に伝えるため、床暖房の中でも一番温かく優れた設備機能といえます。

 

 

しかしその反面感じる事が、表面の床材(フロアー)の下に、温水樹脂パイプを組み込んだパネルを敷き詰め、その温水樹脂パイプに熱いお湯を流すことにより、表面の床材(フロアー)に熱を伝え暖房機能としているため、もし何らかのトラブルによりその温水樹脂パイプが破損した際の被害はかなりのものと想定できます。

 

 

但し、室内に設置する設備機能なので劣化度は低く、温水式床暖房の寿命は30年以上とされているので、その年数よりもさらに10年ぐらいは安心といえば安心かもしれませんが、ものごとを考える観点やものごとを違った角度から見る視点により、いずれにしろこの先リスクを負う温水式床暖房設備のメンテナンスをどのようにとらえるかは人それぞれです。

 

 

ただ言えることは冒頭でも説明したように、現在の住宅環境を造る断熱性能と機能は昔に比べかなり精度が上がっているため、床廻りの断熱工事への強化や床材を30㎜以上の厚さの無垢材で選定するなどにより、温水式床暖房には及びませんが、ある程度温かさも補うことが可能になると思います。

 

 

次にメンテナンスを行う上で、建築工事にまで被害が及ぶ可能性が高い、天井埋込み型エアコンと隠蔽配管についてですが、取付け方法や場所により機器の故障などで、室内で水漏れが発生してしまうことも多々あり、天井内部での稀な配管結露も同じく発生することがあります。

 

 

そのような事例などから、修理工事を行い完了までに至るのですが、直った天井埋込み型エアコンはそのまま使用するのではなく放置したまま、一般的な壁掛けエアコン取付けの依頼を求めて、実際に工事を行うお客様も普通にいます。

 

 

何故このようにもったいない行動に移ってしまうのかというと、内容は専門的な話なるので省略しますが、結果理由として、水漏れ再発への懸念と、天井埋込み型のため商品事態が廃盤になっていることが多く、新しいエアコンに取替えを行うにしても、天井開口部分が取替えを行う天井エアコン本体と大きさが合わないため、何らかの建築工事が必要になり金額も高騰してしまうからです。

 

 

普通以上に取替え費用が高くなってしまう天井埋込み型エアコンですが、メリットはやはり馬力もあり、吹き出し口が2方向~4方向へ気流を吹き出すことができるため、冷房しやすい機能を魅力とし部屋が大きいほどメリットがあるので、マルチで各所にエアコンを配置しても室外機が1台で済むので、大きな建物で外構との取り合いにより敷地にどうしても余裕がない場合などは有利になります。

 

 

しかし上記の例に挙げたような故障を目の当たりにしてしまうと、取替え工事も比較的安く、問題が発生しても隠蔽工事ではなく、メンテナンス性に優れていて、安心できるといった声を持つ壁掛けエアコンの素朴さが浮き彫りになるなど、やはりこのような悲しい内容になってしまうのも結果論であり、適材適所にてご自身のご家庭に何が必要なのか、不必要なのかをメリット、デメリットによる情報を得た上で、設備投資を検討してみることが大切になります。

 

 

このように設備投資をしたものの、価格以上に設備機能を使いきれていない住宅はそこそこ存在しているのではないのでしょうか。

 

 

ですがそれぞれの価値観により、正解不正解がないのも事実です。

ケンシン
ケンシン
目先の良し悪しではなく、後々のメンテナンスや故障による維持管理と、長い付き合い方を視野に検討し、明確な目的と実用性を生むことができる設備機能なのかを十分確認し、考えて選択するようにしましょう。


ちなみに、キッチンの食器洗い乾燥機や、ユニットバスの換気暖房機、照明器具のちょっとした玄関廻りのセンサーライトなどは当たり前に実用性があり、取り替えメンテナンスも容易で商品も豊富に揃い安心できる機材だと思います。