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大切な屋根の形状と種類について

大切な屋根の形状と種類について

沢山の情報の中から屋根の形状によるメリット、デメリットは、ネット検索すると別のサイトにそれぞれ掲載していますが、だからといってどんな屋根の形状が良いかなど、以外と明確に絞りこむことはできません。

 

 


そこで現場で起こる屋根のトラブル事例から、後押しできる情報を発信していきたいと思います。

 

ケンシン
ケンシン
まず屋根という部位に関しては、普段生活する環境から目線がかなり上へとなるので、あまり執着や関心を持つ方はほとんどいないとおもいますが、建物にとって屋根とは、屋根があれば生活ができるといっても過言ではないぐらい重要な部位になり、建築基準法の定義においても、屋根は構造耐力上主要な部分として、とても大切な部位に定められています。


 

この定義が少しわかれば、屋根の形や使う材料などに少しこだわりを持ち、費用をかける優先順位を上げて初期投資をすれば、必ずメンテナンスや不具合のおこりにくい、安心して生活ができる建物の中の一要素になるはずです。

 

 

まずは屋根の形状を希望することにより、プランを計画する上において少しは影響も出るかと思いますが、逆に屋根に執着がなくプランばかりを優先し決定てしまうと、屋根の形状は後からの組み合わせになり自動的に確定してしまうので、変則的な屋根や複雑化した谷板の多い屋根などができてしまうことがあります。

 

ケンシン
ケンシン
まずは平面プランが決定することより、屋根の形状はある程度決まってしまうということを覚えておいて下さい。


 

変則的な屋根は、見る人により見ためはかっこ良く映るでしょうが、屋根自体の機能に関しては、プロ目線からすると不安要素の塊でしかありません。

 

 

屋根を複雑化することは、単純に材料面でロスが出たり、技術的な面により手間仕事が発生するためコストも当然上がります。

 

 

それだけならまだ良いのですが、変則的で複雑化した屋根仕事の納め方には技術力を要するため、工事を計画した施工内容に対して、技術力の伴う職人さんに工事を以来しなくては、後々支障をきたすような不具合を生むことも出てきます。

 

 

それが代表的な雨漏です。

 

 

雨とは気候の変化やその時々の状況により、大量に激しく、時には角度を変えて降ってきます。

 

 

たまに雨漏りの修理以来により、現場に出向くことがありますが、一部の内容としては、段違いの屋根板金と外壁の取り合い部分の納まりが悪く、コーキングを表面に塗り付けた雨仕舞いのできていない、妥協処理からの経年劣化による外壁面からの雨漏りや、カラーベストの経年による、外的要因であろうカラーベスト自体の破損による屋根からの雨漏り、建物の外壁の出入りが多いため、同じように屋根にも変則が多く、その谷板部分の小さくカットして取付けていた瓦が、台風などの外的要因により、ずれたり破損して屋根の下地が露わになっている状態からの明確な雨漏りの発生など。

 

 

やはり雨漏りを誘発させる屋根の特徴として、どの家も少し形状は複雑化で、段違いの変則的な形になっている場合が多いように思います。

 

 

特に純和風住宅の場合は、屋根の形状にこだわった入母屋という日本家屋を代表する屋根の形状となっていて、同じ屋根面に対しても、雨水の流れる方向が変わり、その雨水を受け流がす谷板の材料を銅板で使用し施工することが一般的だったため、酸性雨により銅板に穴が空いてしまい雨漏りが発生し、谷板の取り替え工事を行うなど、複雑化した屋根は経年による外的要因からも沢山の不具合による事例を教えてくれました。

 

ケンシン
ケンシン
このような内容から住宅の屋根の形状は単純化とし、機能を最優先と考え、シンプルで家らしい形を表現する事ができて且つ、なんといっても家造りの醍醐味の一つである、小さい家でも大きく見せることができる、切り妻屋根を推奨します。


 

単純にこの切り妻屋根とは、長方形の建物に対して2面の斜めの屋根を合わすだけで、合わせた真ん中の棟と呼ばれる部分の継ぎ足しの処理を、仕上げ材で上から覆うだけで、通常よっぽどの事が起きない限り、このジョイント部分以外から雨水が侵入することはありません。(※棟部分からの雨水の侵入も当然起こりませんが。)

 

 

また切り妻屋根の場合、技術的な面においても、屋根の継ぎ足し部分が棟合わせの部分以外は無いので、(※但し、高さの違う段落ちの切妻は省きます。)作業が容易になり施工精度も上がりやすく、特に高気密・高断熱住宅になると、切り妻屋根を採用し施工することで、より気密工事が行いやすく、建物自体の機能も安定しやすくなります。

 

 

さらに単純化する屋根の形状は、コスト面でも有利に働くので、その形状をベースに次は材料の選定として、やはり一番耐久性と強度があり、商品としての実績と安心を持つ瓦葺きをお勧めします。

 

 

ここで瓦のイメージは日本家屋になじみ深い、和瓦葺きの純和風の建物のイメージや、一時期建て売り住宅によく使われた光沢のある色付き瓦など、ひと昔前の古臭いイメージがあり、その割りに値段が高く、建物の耐震性の確保として屋根を軽くする傾向を進める中で、瓦を使用すると屋根が重たくなり建物には不利な材料ではないか、などのデメリット的な感じを持つ方もいますが、それは全く違います。

 

 

現在の瓦葺きの工事全般は、桟葺きといって野地板にルーフィングという防水シートを張り、そこに瓦割りピッチに横桟(防虫桟)を取付け瓦を桟に引っ掛けるようにして、瓦に仕込まれた釘穴にステンレス釘を横桟へ打ち込み固定していくので、昔ながらの土壁を屋根に乗せて瓦を葺いていく、土葺きは行わないので、昔の瓦葺き工事に比べると、かなり屋根への自重は軽くなっていてるので、建物への耐震性に影響を与えることはありません。

 

 

そもそも瓦にも、グレートや種類、形状や色合いなどの近代的な外観を合わすイメージを持った、十分過ぎる位の瓦の種類があり、又そんなにデザイン性や色合いで悩む所の部位でもなく、ある程度色合いも黒色ベースで選定し、又和瓦ではなく洋瓦を選定することにより、和風建築にも十分対応できる商品でもあるので、デザイン性に関しては、全般的な建物に対してまず洋瓦ベースで選定しても間違いはないと思います。

 

 

又、維持メンテナンスと強度や耐久性によるバランスを考えた時に、お勧めはなんといっても本瓦である和瓦と、陶器瓦である洋瓦になり、大きくこの2つに関しては焼きが入っている商品なので、屋根材の中に関しては一番優れている他、耐火性や耐水性も兼ね備えているので、維持メンテナンスのかからない一番長持ちする商品といえるでしょう。

 

 

又、瓦自体の厚みによる断熱効果や、桟葺きによる瓦に細工を加えた通気機能から結露が起こりにくく、環境にも配慮がほどこされています。

 

 

ここまでの内容に関して、メリットばかりになりましたが、この内容からデメリットは費用が他の屋根材料より高くなることは解ると思いますが、ではいくら違うのか、又はいくらまでなら検討できるのか、手間仕事を抑えシンプルな切り妻屋根に洋瓦葺きを施工にした場合、一般的な住宅屋根に施工するガルバリウム鋼鈑縦ハゼ葺きや、セメント形成板のカラーベスト葺きからプラス¥40万円程度までの予算を屋根に回すことができれば、約50年間はメンテナンスフリーで、大切な建物を守る屋根の機能を保持することができます。

 

 

ちなみに¥40万円の根拠は、実績ベースとして、35坪前後の木造新築住宅の場合の屋根面積を100m2とした場合、今主流で手頃に屋根工事が行われているガルバリウム鋼鈑縦ハゼ葺き又は、カラーベスト葺きの場合の単価は約¥4,000円~¥5,000円になるので、間の単価をとると¥45万円になります。

 

 

一方フラット型ベースの一般的な洋瓦葺きの単価は約¥7,000円~¥8,000円になるので、こちらも間をとると、¥75万円の金額となります。

 

 

多少は現場の条件、市場による物価の高騰により差はありますが、前述による屋根瓦葺きに関しての幅広い要素を持ったメリットを、¥40万円程度の金額で初期投資できるのなら、設計コンセプトのなかに組み込むほかは無いと思います。

 

 

言うまでもなく、実際にその他の屋根材料に関しては、特にカラーベストなどは経年による汚れやカビ、コケなどが発生しやすい商品になり、本来10年経てば表面を清掃しその後に保護塗料を塗りメンテナンス工事を行うことが必要になりますが、ほぼ行われていないのが現状です。

 

 

 

又メンテナンス工事に関しては、当然落下防止用の安全対策として、外部足場の組立も必要になるので、例にあげた規模35坪の大きさの建物で、屋根のメンテナンス工事をトータルした場合、使用する塗料のグレードにもよりますが、約¥40万円~¥50万円の費用は最低必要になってきます。

 

 

このような費用が後々かかる、若しくは放置して屋根材料の質自体を徐々に低下させるか、このようなことが予め予測できたなら、設計プラン計画の際には、是非屋根の形状と材料にもこだわりと持ち検討しながら、計画を進めてみてはいかがでしょうか。